筆界特定について
弊社において、たびたび筆界特定について相談されることがありその際には法務局へ筆界特定になじむ案件かどうかというのを相談することがあります。筆界特定の検討案件として昨年弊社であった事例としては、隣地の方が立会に応じてくれず何度訪問しても、文書で送付しても応答がない。立ち会って境界について承諾なのか拒否なのかも不明で作業が進まなくなってしまった事例。もう一つが隣地の方が立会には応じてもらえたものの、境界確認についてはどこであっても認めたくない。そのため、承諾なのか賛成なのか意思確認が取れずに進まなくなってしまった事例です。筆界特定については期間がかかってしまうためこの制度を利用すべきかどうかは精査していかないとなりません。
内容
筆界特定制度とは、筆界確定訴訟を行う前に筆界の範囲を定められるように制定されたものです。具体的に申し上げると筆界特定登記官が,外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて,現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。
新たに筆界隣地立会や意見を聞いたうえでを決めることではなく,実地調査や測量を含む様々な調査を行った上,もともとあった筆界を筆界特定登記官が明らかにするという事になります。ただし、筆界特定についてはこれが決定というものではなく納得できない場合には筆界確定訴訟という裁判を行うことができます。
第百二十三条 二 筆界特定 一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。
公法上の筆界
もともとあった筆界を明らかにする。にあるもともとの筆界とは、地租改正などにより初めにその土地ができ、そのあとで分筆や合筆を繰り返して境界が増えたり消えたりしています。それを今どこにあるというのを特定する。ということです。よく思わればちなのが塀があるからそれが筆界である。道路構造物があるからそこまでが自分の土地である。という認識がある方がいますがそれが本当に正しいとは限らないという事です。例えば塀の建て替えの時になんとなく建てられたなら筆界に正しく沿っていない可能性がありますし、当初確認していても筆界を超えないように3cmひいて建てた塀であれば筆界と塀は3cmずれているという事になります。ここでちゅういしなければいけないこととしては、公法上の筆界とは所有権を表す境とは限らない。ということです。この点においては推定として一致していると考えられますが必ずしも一致しているとは言えない点に注意が必要です。また、筆界特定についてはあくまでも公法上の筆界を目的としており、所有権の境は決められないという事も注意が必要です。
検討する際に
筆界特定を利用できれば、境界に対する紛争等が解決できることを期待されることもあるかと思いますが、自身の思う通りには決まらない可能性も考慮が必要です。ただし、境界確認やそれに付随する問題点の解決の有効な手段であることは間違いないため、土地家屋調査士に相談の上検討いただければと思います。